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緑内障について

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●緑内障とは

緑内障は、視神経が眼圧によって弱り、そして視野が狭くなり、進行すると視力も低下して行く病気です。昔は「あおそこひ」といわれ直ぐ失明にいたる病気と考えられていました。しかし、最近は早期診断も出来て、治療法が開発されて、適切な治療を行うと多くの場合目の機能が維持されるようになりました。しかし、今でも中途失明の上位になっています。また、40歳以上の方の20人に1人は緑内障であることがわかりました。そして緑内障の頻度は年齢と共に高くなります。
視神経は物を見る神経で、直接大脳につながっています。ですから、一度弱くなると回復しません。
眼圧とは、目の硬さのことで、正常値は10から20mmHgです。この眼圧により目の形が維持されているのです。眼圧がほぼ一定に保たれるのは、毛様体という組織にある血管から栄養の水(房水)がしみ出る様に産生されて、水晶体や角膜に栄養を与えて隅角(角膜と虹彩の間)から血管に帰っていきます。(図)その隅角が狭かったり、広くてもそこに目づまりがおこると房水が流れ難くなり、それが目の中に溜まり眼圧があがります。

●緑内障の種類

緑内障の種類は、隅角が正常の広さのものを開放隅角緑内障、狭いものを閉塞隅角緑内障と言います。その他に、先天性のもの、他の眼疾患から引き起こされる続発性があります。
開放隅角緑内障が一番多いです。眼圧が高くなると視神経が弱り緑内障になります。しかし、眼圧が正常でも緑内障の人もいます。それを正常眼圧緑内障といいます。近年、日本で行われた疫学調査(多くの一般市民の方を検査して、緑内障の種類を調べる)で、正常眼圧緑内障が一番多い事が分かりました。
以前は眼圧が高く視野が狭い状態を緑内障と定義していました。しかし眼圧が高くなくても、もともと視神経が弱くその眼圧にまけて緑内障になると思われます。 もともと隅角が狭く、そこが塞がってしまうと急激に眼圧があがります。それを閉塞隅角緑内障といいます。中高齢の女性に多くみられます。
先天性の緑内障の特徴は、あかちゃんの角膜(黒目)が異常に大きくなり、これを牛目(ぎゅうがん)といいます。
続発性緑内障は、目の中の炎症や糖尿病の網膜症の末期に起こる場合があります。また、ステロイドの点眼(時に内服)を続けた時に体質によって発症する事もあります。
逆に、眼圧が高くても緑内障の変化がでない人もいます。それを高眼圧症といいます。つまり、眼圧だけで緑内障とは言えません。

●緑内障の症状

開放隅角緑内障の初期には全く自覚症状はありません。知らないうちに進行します。進行すると目がぼやけたり、鼻側の視野が狭く感じます。視力は最後まで良い事が多く、視力低下を自覚するようになると、かなり進行した状態です。最近では、健康診断の眼底写真で視神経に緑内障性の変化があると、専門医に紹介して精密検査を受けてもらいます。視神経の緑内障性の変化とは、乳頭(視神経が眼底に出てきている部分)がへっこんで白くなっています。それを乳頭陥凹(にゅうとうかんおう)といいます。早期発見のために健康診断が大切です。
一方、閉塞隅角緑内障はそれほど多くありませんが、急激に発病します。烈しい眼痛、充血、視力障害、頭痛、嘔吐などの症状がでて、それは我慢出来なくらいです。緑内障発作といいます。頭痛、嘔吐がありますので、時には救急で内科に行く人もいます。中高齢の女性に多いです。誘引はストレスや過労と言われています。

●検 査

まず、眼圧の測定が大切です。眼圧の値が今後の治療の目安になります。測定は、目に直接接触せずに空気圧で計るものと、アプラネーションという器械を直接目に当て計る方法があります。眼底検査で視神経の乳頭の変化を詳しく観察します。そして隅角を特殊なレンズで調べます。
視野の測定の方法には主に二つあります。検査する人がドーム状の器械の中で白い指標(丸い光源)を動かして、見えたところでブザーを押すものです。これは、全体の視野の変化をみるには適しています。緑内障では中心近くに見え難いところ(暗転)が出たり、鼻側の視野が狭くなったりしています。しかし、かなり進行しないと変化が出ません。もう一つは、いろいろな光度の光の点が様々に点滅し、その光が分かればブザーを押します。非常に精確な検査で、早期に変化が分かります。しかし、検査中疲れたり、最初の検査ではうまく出来ずに、2〜3回して本当の結果が出ることもしばしばです。
最近では、視神経の乳頭の陥凹を三次元的に測定して、コンピュータで解析する装置も開発されています。視野検査より早期に診断できる可能性が期待されています。

●治 療

緑内障の治療は、眼圧を今までより出来るだけ下降させる事が大切です。正常眼圧緑内障でも、その眼圧に視神経が耐えられないのですから勿論治療が必要です。
開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障を含む)に対しては、まず点眼薬で眼圧のコントロールを行います。最近は、たくさんの種類の点眼薬が開発されています。眼圧を下げるのに房水が目の外によく流れるようにする作用のあるものと、房水の産生を少なくするものがあります。1種類で上手く眼圧が下がらない時は、他の種類の点眼薬を併用したりして多くの場合が眼圧を下降させる事が出来ます。しかし、自覚症状がない場合が多く、決められた回数点眼をしなかったり、途中で来院されない人もいます。
点眼薬でどうしても眼圧が充分下降しない時は、手術を行います。目の中の水(房水)を目の外に流す通路を作る手術です。最近、隅角に溜まった物質のみをレーザー光線で除く治療も試みられています。
閉塞隅角緑内障の発作の時は眼圧が異常に高くなっており、前述の様に症状も激しく、まず素早く眼圧を下降させるために点滴をします。その後、レーザー光線で虹彩に房水の流れる穴を開けます。または、虹彩を切除する手術をします。治療が遅れますと、2〜3日で失明する場合もあります。

緑内障について述べましたが、いずれにしましても早期発見・早期治療が必要です。緑内障と診断されたら、一度進行すると回復しない疾患である事を自覚し、定期的に検査を受けて治療を欠かさないようにして下さい。そうしますと、多くの場合は進行を防ぎ、日常生活に支障を来たさずにすみます。

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